ウイルス雑感
先般,山中伸弥先生とタモリの新型コロナウイルスに関する番組を見ました。
新型コロナウイルスについては,今年の初めから毎日考えることが多く,その中で考え方も少しづつ変わってきましたが,番組を見て更に思うところが多かったです。
今年の1月,春節を前に新型コロナウイルスのニュースが駆け巡った時,グローバル社会の中で感染症の蔓延が起こったら,人類史上経験したことのない危機が起こるのではないかと思いました。グローバル化が完全に裏目に出てしまうとの危機感です。その後の状況はご存じの通りです。遠く離れた海外のニュースが,自分の足元で起こっているような危機感を感じるのはおそらく初めてのことだったのではないでしょうか。
やがて日本でも緊急事態宣言が発令され,町から人が消え,ほとんどの店舗は自粛で閉店し,動いているのは物資のみという状況が発生しました。それでも物資は飛行機に乗って,トラックに乗って,船に乗って,世界中,日本国内をめぐっていました。仕事も同じです。テレワーク環境がある程度成熟していたおかげで,人が会社に来なくても,情報は通信を通じてかけめぐり,直接会うことなく人と人とのコミュニケーションを行うことができ,仕事の成果を達成することができました。静かに,誰もいないのに,経済活動は恐れていたほどの滞りをみせず,大企業は夏の賞与も激減せずに支給することができたようです。
他方で中小企業,飲食などの自営業は,緊急事態宣言後,静かに店舗や事業所が一つ一つ無くなってゆきました。大阪駅前でも大型商業施設の掲示板からレストランが少しづつ消えてゆき,その後ゆっくりと入れ替わっているようです。
この間,親しい方々と,コロナに関する意見交換をさせていただきました。医療従事者の方の専門的な知見はもとより,友人,依頼に来て下さる一般の方など,色んな方々の感想や考えをお聞きしました。いただいたキーワードは,「ステロイド,ヘパリン,アクテムラ」「地球の免疫反応」「パラダイムシフト」「経済至上主義の終焉」「忘れていたエッセンシャルワーカーへのリスペクトを思い出す時」等,いずれも今後の私の人生の指標としてとどめなければいけない貴重ものです。
そんな中,山中先生のお話で興味深かったのは,ウイルスと人間は,長い歴史の中,相互に影響を受けあい,時に利用し合い,互いを取り入れて今日に至っているという話でした。自分達にとって不快あるいは不都合なもの,こと,人,それが実は自分にとってマイナスのみでない影響を与え,重要な視点の変換,発展のきっかけになることがあるのではないか?そんなことを思いました。何のためにウイルスは存在するのか?ウイルスの目的は何か?人間が存在するからウイルスがいるのか?それとも全くそんなことは関係なく存在しているのか?いろいろな考えが浮かんできました。
答えは出ません。確かな事は,人類はこのウイルスが与える課題を克服しなければならないということだけです。その課題とは,まずは自分自身や家族,友人,地球上に存在する人々の生命と健康を守ることです。しかしその上で,それ以上の課題をこの新型ウイルスに見出してゆきたい,そのことを日々考えています。